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2012年2月 5日 (日)

「虫」と「蟲」

現在、僕は「デイリーポータルZ(http://portal.nifty.com/)」というサイトで

生き物に関する記事を書かせていただいているのだが、

読者の方や編集部の方からよく「虫の記事ばかり書いてますね」と言われる。

僕としては昆虫に限らず、色々な動物について特にわけ隔てなく(もちろん多少の偏りはあるが)

書いているつもりだったので、その度に「そうかな?」と意外に感じていた。

そこで先日今までに自分がそのサイトで書いてきた記事を見直し、

各々の記事中でフィーチャーした生き物を分類したところ

Photo_2

魚類:6記事

045

昆虫:5記事

P1030384

爬虫類:3記事

Dsc04254

陸貝(カタツムリ):2記事

Dsc05755

クモ、サソリ:2記事

393476400

両生類:1記事

P1030013

哺乳類:1記事

という内訳であった。

なんだ、魚の方が多いし、昆虫の記事なんて多い方ではあるけれど全体の4分の1にすぎないじゃないか。

と思ったのだが、あることに気付いた。

…クモとかサソリとかカタツムリも一般的には「虫」扱いされる生き物なのでは…?

僕の頭の中では「虫」といえば「昆虫」を指す語だという勝手な考えが定着してしまっていたのだ。

陸生の軟体動物や節足動物など、諸々の小動物を「虫」と称するのはごく普通ののことであり、その考えに従うと確かに僕が書いた記事のおよそ半分は「虫」を題材にしたものであるといえる。

ところで、そもそも「虫」という字はヘビを表す象形文字で、僕らが普通イメージするような昆虫などの虫を表すものではなかったそうだ。

現在用いられる「虫」という語に近いニュアンスをもっていたのはむしろ「蟲」の方であったらしい。

僕は「蟲」をただの「虫」の旧字体だと思い込んでいたのだが、実は元々は「虫」を組み合わせて作られた全く別の字で、有する歴史はこちらの方が浅いそうだ。

(ただし、現在国内で使用されている「虫」の字はあくまで「蟲」の旧字体扱いである模様。)

で、この「蟲」だが、やはり以前はかなり広い分類群の生物の総称として用いられてきたようだ。

それが現在「虫」が雑多な小動物を指す以上に幅広い。広いどころか動物全般を表す語として使用されていたという。

つまり我々人間も「蟲」に含まれていたのである。

16世紀後期に明で著された権威ある博物学書「本草綱目」によると、すべての動物は

獣のように体を毛に覆われた「毛蟲」、

魚や爬虫類など鱗をまとった「鱗蟲」、

羽をもつ「羽蟲」、

カメやら貝やら、殻や甲羅を持つ「甲蟲」、

人間に代表される丸裸の「裸蟲」

に分類されるという。

しかも驚いたことにこれらの「蟲」にはいわゆる架空の生物も含まれている。

例えば鱗蟲の長には龍(青龍)が、羽蟲の長には鳳凰(朱雀)が君臨している。

(ちなみに毛蟲の長は白虎、甲蟲のは玄武、裸蟲はなんと人間)

当時はこれらの生物も実在のものとして扱われていたのかもしれないが…。

うん。長くなったが何が言いたいのかというと、

「虫」みたいに大雑把に分類できる言葉がないとやってらんないぐらい生き物って言うのはものすごく多様で、そこがまた素敵だねっていうお話でした。

ちなみに「虫」みたいに便利な「ざっくり分類用語」っていうのは意外とたくさんあります。「プランクトン」や「ベントス(底生生物)」とか「微生物」とか。

その辺についてはまた後日書こうかなと思います。

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コメント

ブラジルでも野の獣、昆虫、爬虫類など人間以外の動くものざっくりひっくるめてビッショ(動物)と言うみたいだよ。

初めまして、デイリーポータルZのバラムツの記事を読んできました。
バラムツって脂が人間には消化できないので食べられない魚って聞いてましたが、食べると毒とかではなくて、ちょっとくらいなら食べても大丈夫なんですね。それも凄く美味しいとは。
ただ、食べ過ぎるとおしりから脂が出てきちゃう、腹痛とかは感じないようですが、やはり大惨事になりますよね。
おしりから脂で出てくる、そういう食べ物、以前聞いた話があります。それはジュゴンです、人魚のモデルになったとかいうアレです。かつて琉球では、王とか偉い人達とかでジュゴンを食べる風習があったそうで、中国の偉い使節の人が饗しの席でジュゴンの身を出された時の話。コレを食べるとおしりから脂が出るので、おしりの下に紙を敷いて食べるように言われ、その通りにして食べていると、本当におしりから脂が出てきたんだとか。
この話ですと、ジュゴンの場合は食べている最中からおしりから脂で出てきちゃうようですが、やはりジュゴンの脂も人には消化出来ないものなんですかね。しかし現代ではジュゴンも生息数の少ない大変貴重な生き物になっているので、流石にこれをたべるという機会は無いでしょうかね。

棘くじらさん>

はじめまして。
記事を読んでいただけたようでありがとうございます!

へええ!クジラは脂漏れの原因になると聞いたことがあるんですが
ジュゴンもだめなんですか!

たしかに海獣類はどれも脂肪をたっぷり蓄えていますもんね。
ジュゴンとかマナティーとか、草食の海獣って臭みがなくて美味しそうですが
現代ではどちらも食べる機会は無いでしょうね・・・。

まあ僕らはおそらく人類史上もっともクセがなくて美味しい肉であろう
食肉用に品種改良された家畜の肉を食べられるので、
わざわざそんな絶滅危惧種を獲って食う必要もないのですが(笑)。(正直、興味はありますが)

嘘か本当かわかりませんが、バラムツも食べている最中に漏れ出す例があると聞いたことがあります。
だから好きな人はオムツを履いた上で食べるのだとか。

大抵の人はちょっと味見した程度で皮脂漏症や下痢などのひどい症状が出るが出ることは無いようですが、
やはり体質による部分が大きいので食べる際は自己責任ですね。
また、子どもや胃腸の弱い方には絶対に食べさせないことです。

記事の中では詳しくは書かなかったのですが、すべての脂を排出しきるまでに食後30時間くらい掛かったと思います。

便意(おならも含め)をわずかでも感じたらすぐにトイレに駆け込まないとけっこうすごい勢いで油が漏れ出します。

面白いお話を教えてくださってどうもありがとうございました。
今度沖縄に出向いたときは海人(うみんちゅ)の方にお話を伺おうと思っているので、
そのときにジュゴンの脂についても尋ねてみます。

ところで「棘くじら」さんってとても良いお名前ですね。なんだかとても気に入りました。

友人のTweet→デイリーポータルZ→と、辿ってやって参りました。
自分でも、何故こんな処にまで迷い込んでしまったのか、不可解です。

でも、とても面白いので、是非、捕り続け書き続けて下さい。
宜しくお願い致します。

はじめまして!
私もバラムツの記事から来ました。

油ぴーぴー大丈夫ですか??

沼津港まで近いのに、未だに深海魚食べたことないですw

虫は嫌いと言うか、怖い存在。
図鑑で見る虫は大好きなのに、どうして真横にいたら 怖いんだろう?


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