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2014年3月の5件の記事

2014年3月19日 (水)

告知:週刊 日本の魚釣り オオウナギ編

この度記事を寄稿させていただいたアシェット・コレクションズ・ジャパン週刊 日本の魚釣り 第180号が発売となりました。

こちらの雑誌で筆を執らせていただくのは昨年の「東京海底谷の深海釣り」 に続いて二度目。

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そして今週号で特集されているのはまずメバルとカマスのルアー釣り。
…ですが、僕がそんなメジャーターゲットを任されるはずもなく、担当したのは釣りの世界では完全にイロモノ扱いのオオウナギくんです。

純淡水域に大型魚の少ない南西諸島では、川釣りで狙える唯一の大物として人気のオオウナギ。

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体型も生態もニホンウナギに似ているが、釣るとなると次元がまったく違うオオウナギ。

しかし、釣り方を具体的に解説した資料は少なく、釣り人は我流の置きバリ仕掛けで臨むことが多い現状。
この置きバリって実は効率が悪い上に針を飲まれやすく、オオウナギを傷つける原因になるんです。

しかも、捌くのが面倒くさい割にニホンウナギほどおいしくないので、ほとんどの釣り人はファイトを体で、そして魚体の迫力を目で楽しんだら即リリースしています。

ならば!というわけで今回はキャッチ&リリース前提で、いかにオオウナギに与えるダメージを軽減できるか。
そしていかにアタリを多くとり、確実にキャッチするかという二点に主眼を置いた釣法を紹介。
キャッチ率も、その後の生存率も置きバリより向上できます。

オオウナギ釣りには尋常でなく太く強い仕掛けを用います。
40号以上のハリスまでも普通に使う川釣りは日本中探してもこれぐらいでは?

もちろん、普通の個体はもっとライトな仕掛けで難なく上がりますが、

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このクラスとのファイトを想定すると、それも全く大袈裟ではないという…。
穴に潜られたらゲームオーバーなので、他の魚のようにドラグを活かして走らせる戦法は選べません。
こいつを一歩も後退させずに力任せに寄せなければならないのです。

必然、釣り針も釣り糸も「マグロかカンパチでも狙うの?」みたいなものを選ぶ羽目に。川釣りなのに。
(また、細い糸だとファイト中に掴むと手を切る危険もあります。これも太仕掛けを使う理由の一つ。)

昨年、何回も沖縄へ通い、現地の釣り師への聞き込みと実釣取材を重ねた集大成!
数ある釣りの中でもかなりマイナーなジャンルですが、興味のある方はAmazonから お手に取っていただければと思います。

オオウナギは南西諸島の河川では決して珍しい魚ではありません(というか夜に川を見回るとホイホイ見つかります)が、あまりずさんに扱うといつの間にか幻の魚に・・・ということになりかねません。

キャッチ&リリースの釣りを否定する気はありませんが、やるからには最大限の工夫をしたいものですね。

ちなみにこのオオウナギ、本土では個体数も生息地もかなり限られ、天然記念物に指定されている地域がほとんどです。

うっかりそういう場所で釣ってしまわないよう十分注意しましょうね。

2014年3月18日 (火)

僕はまだダイオウイカを捕獲できない

バラエティ番組の企画で、以前紹介したダイオウイカ用釣り針を深海500~700メートルへ沈めてきました。

当然、そう簡単にダイオウイカにコンタクトできるわけはないのですが、針をはじめ、仕掛け全体の問題点などを洗い出すテストにはなったかなと思います。

その結果を受けてバランス、絡み防止、エサの保持力、スッテへの応用を考えて沖縄の鉄工所で作り直していただいたセカンドバージョンが昨日、手元に届きました。


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相変わらず非常識なサイズ。
ダイオウイカはわかりませんが、人間はすごい勢いで食いつきそうですよね。別の意味で。
NHKのおかげでダイオウイカブームですし、変に注目されてしまいそう。


僕は本気で生きたダイオウイカを捕えて触りたいと思っています。
確かに本気ですが、まだ本気度が足りないなと悟りました。
実際に釣り針を手に取ってみた段階で。
“超”本気な人なら、まずこういう道具の準備に時間を割くのではなく、
とりあえずフィールドに出向くことに全力を尽すだろうと思うのです。

手ぶらでも、まず過去にNHKが実績を上げた小笠原へ渡るでしょう。
一日でも長く滞在して漁師さんたちから情報を集めるでしょう。
いざ船を出す日に備えて、根回しをするでしょう。

僕はそれをせず、楽に「着実に計画が進んでるぞ」という自己満足を得られる道具作りに逃げてしまった。

しかも、こういう目に見えるモノを作って公開することは「俺、面白いことしてますよ。注目してね!」という安いパフォーマンスにもなってしまいます。

自分で言うのもなんですが、人気者になったダイオウイカをダシにして目立とうとしているようで不快です。


それを否定するためにはとにもかくにもまずフィールドに出なければならないのですが、
未だに小笠原行きの予定すら立てられていないという・・・
ダイオウイカを手にするまでいったい何年かかるんでしょうね。
個人的には何年かかってもいいんですが。


2012年末のNHK撮影チームによる「ダイオウイカ革命」以来、僕以外にも、僕以上に本気でこのイカを狙っている人がたくさん出てきたはずです。

きっと彼らが近日中に良いニュースを聞かせてくれるのではないでしょうか。

あ、そういう奇特な方でこの釣り針を試してみたいという方がもしいらっしゃいましたらご相談くださいー。

2014年3月16日 (日)

メディア告知:関西テレビ・『ギョクセキっ!』

東野幸治さんが司会を務める関西テレビのバラエティー番組『ギョクセキっ!』3月17日放送回の中で活動の一部を取り上げていただきます。

なんでも、「さまざまな人物や事柄がことわざの『玉石混交』でいうところのの“玉”に当たる価値を持つのか、“石”程度の価値しかないのかを判定していく番組」なのだそうで。

世間様に“玉”!!と言っていただけるほどたいしたことをしているつもりもないのですが、まあせっかくなので「ちょっと変わった形の石」くらいに評価してもらえるとうれしいですね。

さてどうなることやら・・・。

2014年3月11日 (火)

大漁!深海魚ミズウオ拾い

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今年は綺麗な個体を拾えたよ!

去年の冬に駿河湾の浜辺でミズウオを拾って食べる記事 をデイリーポータルZに書いた。


ミズウオはバショウカジキのような背鰭と鋭く長い牙を持つ格好いい魚で、実はファンも多い。

また、ミズウオといえば正真正銘の深海魚でありながら、岸辺でゲットできることで知られている。

去年は体表が乾き始め、チャームポイントの背鰭が痛んだ個体しか拾えなかったので、一年越しのリベンジに臨んだのだ。

しかも前回は一人きりでのチャレンジだったが、今回は全国各地の奇特な友人らと7人で出動。
これはもう勝ったも同然だろう。

一年ぶりにあの浜に降り立つ。


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富士山も拝める風光明媚なスポットなのだが、

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夜は景色を楽しめない。というかそもそも波打ち際しか見ない。

二手に分かれて探索を始めること10分足らず。
僕の隣を歩いていたIさん(大阪から参加!)が足を止め、「なんか、イカツいのがいる・・・」とつぶやいた。


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殺風景な夜の浜辺に圧倒的な存在感

一同「うおおおおおお!ミズウオいたああああ!!」

決着つくの早すぎ(笑)!
そういえばIさんは沖縄でも同じようなシチュエーションで溺れてるおじいさんを発見して人命救助していたな。

こういう作業の才能があるんだろう。


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しかも新鮮!

別動隊も招集して記念撮影大会。

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大きい!かっこいい!

そしてミズウオと言えばやっぱり外せないあのイベント。
胃内容物チェック。


その名の通り身が異常なほど水っぽく柔らかいミズウオの腹を割くのにナイフはいらない。
指を肛門に突っ込んで頭に向かって引くだけで内臓があらわになる。


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マダラの卵巣みたいな黒くて大きな胃袋がパンパンに膨らんでいる。
しかし、うっすい胃だな。

期待を込めて指で抓りあげると簡単に破れる胃。
こんな貧弱な身体で大丈夫なのかこの魚…。

呆れつつ胃を根元から絞ると…

デュルルン!!!!

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一同「うわああああああああああ!!」

アナゴ、サバフグ、そして極めつけは特大のショウサイフグ(大きすぎてトラフグかと思った)!!
しかも全部丸飲み。

ショウサイフグに至ってはどうして飲み込めたのか不思議なくらい。
それにこのフグは有毒。
そんなの食ったら打ち上げられなくてもいずれ死ぬだろ。何やってんだ。
まあ普段暮らしてる深海では見たことない魚だろうから、知らなくてもしょうがないか。

やたら食腕の長い深海性っぽいイカも半消化で出てきたが、それ以外はすべて浅場の魚。
こいつ、岸辺に打ち上げられかけても構わず餌採ってやがるな…。


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体腔には条虫っぽい寄生虫がいた。うねうね蠢いていて素敵。
味は苦かったな。
ミズウオ本体の方がまだ食える。

その後も探索を続けるといるわいるわ。
計4尾発見!


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二個体目はかわいいサイズ。もちろんこいつの腹も割く。

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面白い生物は入っていなかったが、ビニール片などのゴミが出てきた。

ミズウオは海中で目についたものを手当たり次第に餌とみなして飲み込む習性があり、
海洋汚染の度合いを測る指標になるほどなのだとか。

残念な気持ちになる。


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三個体目は日没前に揚がったのか、鳥に突かれたらしくボロボロ。

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しかもなんか飛び出してる!


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自身の体長の7~8割もある大きなタチウオ!
打ち上げられてのたうってる時に胃と体腔を突き破ったらしい。

やっぱり肉質弱すぎ!

そして驚いたのが、ルアーまで飲んでいたこと。
タチウオが咥えていたものを一緒に飲んだというわけでもなさそうだ。

駿河湾ではたまに釣り人がキャッチすると聞いていたが、どうやら本当らしいな。
水深数メートル以内で餌を摂っていることが確定した。


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そして4個体目。
こいつは一番新鮮で、腹を割くとまだ内臓が動いていた。


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腹の中にはカタクチイワシが1尾のみ。
深海魚食べてるやつがいたら最高だったんだけどな。

そんなこんなで大満足のうちにミズウオ拾いは終了。

いやー、楽しかった。
また来年も寒さに震えながら同じ浜を歩いている気がするな。


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ちなみに、ミズウオは食べられないこともないが、水っぽすぎて焼いても揚げても刺身にしても不味い。

どうしても食べたいなら煮込んで水分を飛ばし、身を引き締めるとそれなりのモノになる。


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身が縮んで骨が露出するから不気味だけどね。

そしてミズウオと言えば最近気になっているのがミズウオヒレギレイカ の存在。
何でも食べるミズウオの胃の中からしか発見されていないという珍しいイカ。

こういう話を聞くと、ミズウオは
鵜飼の鵜よろしく深海生物キャッチャーとして優秀なんだなあと思ってしまう。

また来シーズンも腹を割かねば…。

2014年3月 4日 (火)

ピラニア!

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今日はピラニアの話だ!

アマゾンおよび熱帯生物好きには言わずと知れた名著である開高健の「オーパ!」

僕も子供の頃、登場する小動物や魚の写真ばかり見ては「物書きになったら出版社の金でアマゾン行けるんだ!オーパ!」とピュアな憧れを抱いたもの。

誰が筆を執ったのか、またどんな媒体だったかすら失念してしまったけれど、
この本のある写真について鋭い指摘をしている文章を読んだ。

それはかの有名な表紙の写真。
Amazonだと文庫版のページが分かりやすいかな?)

ピラニアの顔面どアップだ。
その指摘というのが「鋭い歯と綺麗な歯並びがピラニアのチャームポイントなのに、なぜよりによってこんなボロボロの個体を表紙に採用したのか(要約)」といったものだった。

なるほど。
確かに言われてみると妙だ。
オーパ!の表紙を飾ったピラニアはやけに歯の欠けが目立つ。
釣りあげた後、ハリを外す際にもたついて、カメラの用意ができるまで長いことペンチを齧らせてしまったのだろうか。

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ちなみに、本記事の半分は「俺、ブラジルまでピラニア釣りに行ったんだぜ?」自慢でできています。

いや、そうだとして開高健自身が何度も語っているように「ピラニアなんていくらでも釣れる」魚なのだから、歯の整った魚を改めて用意して撮りなおせばよかったんじゃあないか?

いやいや、デジカメ主流の今とは違い、当時は撮影枚数に限りのあるフィルムカメラ。
あんな雑魚に軽い気持ちで何度もレンズを向けるわけにもいかず、状態は悪くとも唯一、「アマゾンの代名詞」たるピラニアの面を捉えたあの写真を渋々ながら採用したのでは?

いやいやいや、名高い開高健と高橋昇のことだ。
きっとあの歯の摩耗したピラニアに、野生だか無骨さだか、何かメッセージ性を見出して表紙を飾らせるに至ったのだろう。
僕のような凡人には伝わらずとも、すべて高度に計算しつくされているのではないか?

いやいやいやいや、・・・・・・・・・・・・

・・・いろいろ考えを巡らせても答えは出ないっすね。
そういえば表紙写真について本文中に何か言及はあったろうか。
もう長いこと読んでいないので忘れてしまっている部分も多いし(読むとアマゾン行きたくなっちゃうから)。

はい、じゃあ前置きはこんなもんで。
今回何が言いたいかというとピラニアはすごいよということ。

現地(パンタナール)を訪ねて思い知った。
こいつらすごい。色々すごい。
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パンタナールを代表するジャイアントイエローピラニアという種類

まず、個体数というか生息密度が尋常じゃない。
訪問したのが乾季だというのも大きいんだけど、それを差し引いても多すぎる。おかしい。

桟橋の下や植生の陰など、「ここぞ!」というポイントにエサを投げこめば、ほぼ百発百中で釣れる。
「こんなとこにもいたりして・・・」というポイントでも、ほぼ百発百中で釣れる。
「さすがにここにはいないよな!な!」というポイントでも、ほぼ百発百中で釣れる。

おかしい。


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こちらは別種。現地名はピラーニャ・ブランカ(白いピラニアの意)

何もない大河の沖合でも、水面を竿でバチャバチャ叩けばどこからともなく寄ってきて、
5分と経たず入れ食いになる。

釣り好きの方ならわかってくれると思うが、これはかなり異常な事態である。

しかも、昼でも夜でも釣れるし、餌でもルアーでも釣れるのだ。
日本でいうブルーギルより簡単に釣れるのだ。

で、これだけ量産型な生物のくせに、個々の攻撃力が異様に高いから困ったもんなのよ。
何度も言うように歯が尋常じゃなく鋭い。


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あれ?意外とたいしたことないな。と思うがこれが罠。

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(引用元:Wildlife of the Rainforest!
実際は唇の中に格納されているだけで、めちゃ凶悪。指が飛ぶというのも納得。

地元の漁師さんが指の腹をグルリと持っていかれているのを見た。
一番扱いに慣れているはずの彼らでも油断するとやられるのだ。
僕は一度も素手では掴まなかった。
こんな雑魚(一日でもピラニアの相手をすれば、イヤでもそう思うようになります)の一撃でせっかくのパンタナール旅行が台無しになってはたまらないからだ。


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その上、顎の力も凄まじいから厄介だ。
釣りの仕掛けにはワイヤーを組み込まなくてはいけないし、ルアーもあっという間にボロボロになる。

咬合力が強すぎて、ブラックバス用の軸の細いハリは折られたり曲げられたりで一発で使い物にならなくなってしまうの。
とっても不経済なので、南米へ釣りに行くときはハリにだけはお金かけた方がいいと思うの。


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ちなみに簡単に獲れる割には味もよく、現地ではポピュラーな食材になっていたりもする。
これは「御馳走が無限に獲れる」ということだ。すごい。

特にスープが絶品なのだが、ちょっとでも冷めると生臭くて食えなくなるのが玉にキズ。

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それから、驚いたメニューがピラニアの刺身。
現地では川魚を普通に刺身にしてしまうのだ。

近年のブラジルにおける日本食ブームに乗って伝わった刺身が、内陸部では川魚で再現されているのだ。

ジャガーとかワニとかカピバラがいるような奥地のロッジにも、醤油とワサビが常備されているのだから恐れ入る。

寄生虫とかいたら危なくない?という声が聞こえてくるようだが、はっきり言おう。
危ないでしょ。危ないよ、そりゃあ。

まあ、現地の人が「日本食が恋しいだろ?」って気を利かせてわざわざ作ってくれたから食ったけどね。完食したけどね。
興味もあったし。

味はあっさりしてて美味しかったですが、真似はしないでください。
ちなみにその後、幸いにも身体に異常は出ませんでした。

「魚を生食する文化」が無かったということは同時に「川魚の生食を禁ずる文化」も無かったということなんだなあと思い知った出来事だった。

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