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2014年3月 4日 (火)

ピラニア!

Photo
今日はピラニアの話だ!

アマゾンおよび熱帯生物好きには言わずと知れた名著である開高健の「オーパ!」

僕も子供の頃、登場する小動物や魚の写真ばかり見ては「物書きになったら出版社の金でアマゾン行けるんだ!オーパ!」とピュアな憧れを抱いたもの。

誰が筆を執ったのか、またどんな媒体だったかすら失念してしまったけれど、
この本のある写真について鋭い指摘をしている文章を読んだ。

それはかの有名な表紙の写真。
Amazonだと文庫版のページが分かりやすいかな?)

ピラニアの顔面どアップだ。
その指摘というのが「鋭い歯と綺麗な歯並びがピラニアのチャームポイントなのに、なぜよりによってこんなボロボロの個体を表紙に採用したのか(要約)」といったものだった。

なるほど。
確かに言われてみると妙だ。
オーパ!の表紙を飾ったピラニアはやけに歯の欠けが目立つ。
釣りあげた後、ハリを外す際にもたついて、カメラの用意ができるまで長いことペンチを齧らせてしまったのだろうか。

P1000419
ちなみに、本記事の半分は「俺、ブラジルまでピラニア釣りに行ったんだぜ?」自慢でできています。

いや、そうだとして開高健自身が何度も語っているように「ピラニアなんていくらでも釣れる」魚なのだから、歯の整った魚を改めて用意して撮りなおせばよかったんじゃあないか?

いやいや、デジカメ主流の今とは違い、当時は撮影枚数に限りのあるフィルムカメラ。
あんな雑魚に軽い気持ちで何度もレンズを向けるわけにもいかず、状態は悪くとも唯一、「アマゾンの代名詞」たるピラニアの面を捉えたあの写真を渋々ながら採用したのでは?

いやいやいや、名高い開高健と高橋昇のことだ。
きっとあの歯の摩耗したピラニアに、野生だか無骨さだか、何かメッセージ性を見出して表紙を飾らせるに至ったのだろう。
僕のような凡人には伝わらずとも、すべて高度に計算しつくされているのではないか?

いやいやいやいや、・・・・・・・・・・・・

・・・いろいろ考えを巡らせても答えは出ないっすね。
そういえば表紙写真について本文中に何か言及はあったろうか。
もう長いこと読んでいないので忘れてしまっている部分も多いし(読むとアマゾン行きたくなっちゃうから)。

はい、じゃあ前置きはこんなもんで。
今回何が言いたいかというとピラニアはすごいよということ。

現地(パンタナール)を訪ねて思い知った。
こいつらすごい。色々すごい。
P1000435
パンタナールを代表するジャイアントイエローピラニアという種類

まず、個体数というか生息密度が尋常じゃない。
訪問したのが乾季だというのも大きいんだけど、それを差し引いても多すぎる。おかしい。

桟橋の下や植生の陰など、「ここぞ!」というポイントにエサを投げこめば、ほぼ百発百中で釣れる。
「こんなとこにもいたりして・・・」というポイントでも、ほぼ百発百中で釣れる。
「さすがにここにはいないよな!な!」というポイントでも、ほぼ百発百中で釣れる。

おかしい。


Photo_3
こちらは別種。現地名はピラーニャ・ブランカ(白いピラニアの意)

何もない大河の沖合でも、水面を竿でバチャバチャ叩けばどこからともなく寄ってきて、
5分と経たず入れ食いになる。

釣り好きの方ならわかってくれると思うが、これはかなり異常な事態である。

しかも、昼でも夜でも釣れるし、餌でもルアーでも釣れるのだ。
日本でいうブルーギルより簡単に釣れるのだ。

で、これだけ量産型な生物のくせに、個々の攻撃力が異様に高いから困ったもんなのよ。
何度も言うように歯が尋常じゃなく鋭い。


P1000382
あれ?意外とたいしたことないな。と思うがこれが罠。

Pira
(引用元:Wildlife of the Rainforest!
実際は唇の中に格納されているだけで、めちゃ凶悪。指が飛ぶというのも納得。

地元の漁師さんが指の腹をグルリと持っていかれているのを見た。
一番扱いに慣れているはずの彼らでも油断するとやられるのだ。
僕は一度も素手では掴まなかった。
こんな雑魚(一日でもピラニアの相手をすれば、イヤでもそう思うようになります)の一撃でせっかくのパンタナール旅行が台無しになってはたまらないからだ。


P1000555

その上、顎の力も凄まじいから厄介だ。
釣りの仕掛けにはワイヤーを組み込まなくてはいけないし、ルアーもあっという間にボロボロになる。

咬合力が強すぎて、ブラックバス用の軸の細いハリは折られたり曲げられたりで一発で使い物にならなくなってしまうの。
とっても不経済なので、南米へ釣りに行くときはハリにだけはお金かけた方がいいと思うの。


P1010153

ちなみに簡単に獲れる割には味もよく、現地ではポピュラーな食材になっていたりもする。
これは「御馳走が無限に獲れる」ということだ。すごい。

特にスープが絶品なのだが、ちょっとでも冷めると生臭くて食えなくなるのが玉にキズ。

Photo_5

それから、驚いたメニューがピラニアの刺身。
現地では川魚を普通に刺身にしてしまうのだ。

近年のブラジルにおける日本食ブームに乗って伝わった刺身が、内陸部では川魚で再現されているのだ。

ジャガーとかワニとかカピバラがいるような奥地のロッジにも、醤油とワサビが常備されているのだから恐れ入る。

寄生虫とかいたら危なくない?という声が聞こえてくるようだが、はっきり言おう。
危ないでしょ。危ないよ、そりゃあ。

まあ、現地の人が「日本食が恋しいだろ?」って気を利かせてわざわざ作ってくれたから食ったけどね。完食したけどね。
興味もあったし。

味はあっさりしてて美味しかったですが、真似はしないでください。
ちなみにその後、幸いにも身体に異常は出ませんでした。

「魚を生食する文化」が無かったということは同時に「川魚の生食を禁ずる文化」も無かったということなんだなあと思い知った出来事だった。

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コメント

初めまして。思いっきりインドア派なので、DPZの平坂さんの記事を楽しみに拝見しています。未知の世界だから。

今回の『オーパ』のピラニアの歯の件ですが、素人目には、百戦錬磨のスカーフェイスならぬスカートゥースに見えて、「さぞ荒くれた人生(魚生?)を送ってきたに違いない」と凄味を感じてしまいます。
お魚のこと何にも知らない素人に「ピラニア恐いんやぞ」とアピールするために、歯ぁガタガタの個体を選んだのか、あるいは、わざと歯を…(←可哀相っ!)
………かなぁ、と思いました。
素人目線の素人考えですみません。

ピラニアってブルーギル感覚?w

とにかく何を狙っても釣れてくるらしいですねw

ピラニアは、知名度も高いですし、かっこいい魚ですし、是非とも釣ってみたいです!
日本にいないですかね(笑)大阪や琵琶湖では捕獲されたそうですが自分も釣りたい!

ピラニアも釣ってたんですか!
ピラニアの刺身はDPZの記事にはならないんですか?

いつも楽しく拝見させていただいております。ピラニア、美味しそうですね。
デイリーポータルの鯉も美味しそうでしたが、川魚って、意外と美味しいんですね。川魚とはあまり関係ありませんが、どうしても気になる生き物がいます。が、なかなか素人の私では食べるまで行きません。そのひとつが、ヒトデなのですが、うわさによるとウニとカニを足した味とききました。いつか平坂さんのブログで機会があればレポしていただきたいな、と思い書き込みました。突然失礼いたしました。

はじめまして。DPZからやってきましたが、こちらの記事も知らぬ世界のことばかりで、楽しく拝見しています。

川魚の生食が危ないと認識されるにはどれ程の時が必要になるのでしょうね。情報の伝達が容易になったからこそ、正しい情報を得る難しさを感じました。

小宮さん

ここ数年では沖縄や神奈川などでも見つかっています。
ただ、この魚に関しては間違いなくお金をためて原産地へ飛んだ方が明らかに低コストで釣れますよ(笑)。

ベニーさん

はい。もう結構時間が経ちますが・・・。
んー、ピラニアの刺身に関してはデイリーポータルで公開する予定はありませんね~。

konbu718

ありがとうございます!

昨年、熊本県天草までヒトデを食べに行きましたが、潮が悪く、シーズンも終盤に差し掛かっていたため、残念ながらありつくことができませんでした。

確かに現地の人のお話では「カニミソとウニの中間」ということでしたが、
同時に「食べる人を選ぶ」味でもあるという意見も多く聞かれました。

今年も再挑戦する予定ですので、初夏までしばし報告をお待ちください。

naoさん

はじめまして、ありがとうございます!

万一、寄生虫で健康被害が出たとして、それが寄生虫によるものであること、そしてその宿主の正体を突き止めるまでに結構な時間がかかるでしょうしね。

これ、ちゃんと研究したら結構面白いテーマでしょうね。

チャプ2さん

はじめまして。
ありがとうございます!

どうなんでしょうねー?
当事者に真相を聞いたら「なんか雰囲気のある写真だったから…」で片づけられそうな気もしますが(笑)。

ちなみに、僕も基本的にはインドア派です。
日光に弱いです。

>「魚を生食する文化」が無かったということは同時に「川魚の生食を禁ずる文化」も無かったということ。。。

深いです。。。勉強になりました。。。

『オーパ!』と言う本の表紙。たしかに平坂さんが素敵な“どや顔”で釣り上げている
写真のピラニアとは、風貌が明らかにちがいますね。
パッと見た感想は、やっぱり迫力でしょうか。

思わずジャケ買いして(手に取って)しまう程のインパクトは、魚全般にうとい私でも伝わってきました。

そして、平坂さんが基本的にインドア派だった情報に嬉しくなりました♪

いつも楽しい記事を楽しみにしております。

オーパの表紙の件、懐かしくなりました。
本文中で巨大なブラックピラニアを釣った際に、
釣られた個体の横にもう一匹が着いてきていたとか、
大きな個体を釣り上げ、歯を見たら欠けたりしていて、
開高先生自身がなんだか薄ら寒い老いを感じたという記述があったと思います。
(只今仕事中なので確認できませんでしたが)
そこからこの個体を選んだのではないかと思いました。

これからも楽しい記事を待っております。

G12さん

おお、そんなエピソードがありましたか!
なら表紙の写真はその記述に絡めたものでしょうね。

もう最後に読んだのが10年前以上ですからかなり記憶から抜け落ちている部分もあるようです。
急いで買い直さなくては。

ありがとうございました!

デイリー見てます。
採った以上は美味しく食べる! スタイルがほかと一線を画していますね、楽しいです。

というのも、私も以前祖父のためにスッポン鍋セットを注文したところ、活きたスッポンが一頭、そのまま届いたことがあり、いやだけどネット動画で即席勉強し裁いた経験が忘れられないのです。ものの五分で活き血がプリンになったのは衝撃でした。

ところで私は昆虫食になにか根源的な興味を抱いています。
ネタのひとつとして、その辺の開拓などいかがでしょう(笑

Askさん

ありがとうございます!

採った以上は食べる!…と徹底しているわけではないんです。実は。
食べたければ食べるし、食べるのをためらう要素があれば即逃がします。
そもそも生け捕りにし、手に取って詳細に観察することが(多くの場合)第一の目的なので食べるかどうかは二の次だったりします。

虫食は文化的な視点から考えるととても面白いジャンルだと思います。
虫食をゲテモノ食いショーみたいに面白おかしく囃す方達は苦手ですが…。

個人的に試してみたいのはカミキリムシの幼虫を小麦粉で飼養して太らせてから調理する「ファーブル式」です。
そのままでも美味しい虫ですがね!

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