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2015年5月11日 (月)

マナマズよりウォーキングキャットフィッシュ(ヒレナマズ)の方がウナギの代用に向いている気がする

近畿大学と鹿児島の養鰻業者によってマナマズを味濃く養殖する方法が確立され、
それがウナギの代用となるかもしれないと盛り上がっていますね。

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確かに天然のマナマズは蒲焼きで食べると美味しいんですが、ウナギの代わりにするには淡白すぎるように思います。

高脂質の餌で身に脂を乗せることでそこんとこをクリアーできそうなんだとか。

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マナマズの蒲焼き


ところで、気の早い話ですがもしこの手法が上手くいって、いずれさらに効率よくウナギの代用をこしらえることになったら、いずれこちらのナマズに同様の処置が施されるようになるかもしれません。

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東南アジア産のウォーキングキャットフィッシュ(ヒレナマズ科の総称)。
観賞魚に通じている人には「クララ」と書いた方が伝わりやすいかも。

この魚はマナマズよりも脂も味も強く、個人的には蒲焼きにしてウナギに近いのはこちらであると感じました。

実際、東南アジアでは蒲焼きに似た甘辛い味付けの炭火焼で食されています。

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ウォーキングキャットフィッシュの蒲焼き

もちろん、天然モノはウナギには脂のノリで及ばないものの、
人工飼料による肥育を前提とするならポテンシャルはかなり高いと…。

さらにこの魚は飼育が容易で古くから東南アジア各地で盛んに養殖されており、生産性の面でも(少なくとも現時点では)マナマズに勝っています。

今後の展開次第では、いずれウナギの代用もこちらに取って代わられるのではと個人的に予想しています。

ちなみに、この魚は日本でも観賞用の色彩変異個体が沖縄島で繁殖してしまっています。
上の蒲焼きはそれを捕獲して調理したものです。

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沖縄島に定着しているのは人工的に固定された色彩変異個体ばかり。
上の写真のような黒色の「原種」はいないようです。

ただ、そうした個体は錦鯉のようにアバンギャルドなカラーリングなので、なかなか食欲は喚起しないかも…。
率直に言ってキモいんで…。

キモいと言えば。
もし今後、本気でウナギの代用として市場に出回らせるのであれば、まずはこの「えー、ナマズなんて食えるの…?気持ち悪くない?」というイメージを払拭しなければ始まらないでしょう。

日本人は食材の「原型」がはっきりイメージされると途端にセンシティブになるため、ここが最大のネックなのではと思います。

そもそも日本人が抱く「食材としての淡水魚」への抵抗はかなりのものです。

海に囲まれ、いつでも美味しい海産魚が手に入る日本では「川魚=食べ物」という概念がそもそも薄く、
一般的に食用魚として認知、浸透しているのはそれこそウナギ、アユ、マス類くらいしかありません。

ナマズやコイ、フナも十分食用となるのですが、実際は地方の郷土料理として食べられている程度なのが現状です。

そんな我が国において、ナマズのような淡水魚を新たに食材として広く定着させることは簡単なことではないでしょう。

実際、歴史を振り返ってもブルーギルやソウギョ、ハクレン、チャネルキャットフィッシュなどたくさんの淡水魚が日本の水産市場に殴り込みをかけては散っていったことがわかります。

成功したのはスズキ名義で進出して、馴染んだところでどさくさに正体を明かしたナイルパーチくらいのものでしょうか。
…まあ、あの魚は外見も海産魚のアカメとほぼ同じなので抵抗も少ないのでしょうが。


個人的には、養殖ナマズがウナギに代わる食材として定着することを強く希望しています。
この研究が天然ウナギの資源量回復につながってくれればいいなと。

そして、とにもかくにもこの養殖ナマズの味が気になるところです。
本当にウナギそっくりなんだろうか…。
食べてみたい…。
試食会とかやってくれないかな…。

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コメント

蒲焼きダレの”焦げ(寸前の)色”が出るように焼いてあげれば,もしかすると色彩変異の”キモさ”みたいなのはなくなるのかな?とか思ったり。そのあたりは”職人技”でしょうかね。それこそ青島食堂の大将が知ってたりするぐらいの

いつも平坂さんの記事を楽しく読ませて頂いています。
(デイリーポータルZやエイリアンのつかまえかた 含む(笑))
記事の養殖ナマズは、数量限定で食べれるそうですよ。(URL参照)
是非 食べて感想をお願いします。(笑)

石郎さん
そうですね~。確かに焦げをコントロールすればかなりマシな見た目になりそうです!
あれだけコントラストのはっきりしたまだら模様だと、完全にはごまかせそうにありませんが…。


黄泉さん
ありがとうございます!
例の養殖ナマズ、僕はまだ未体験ですが試食した知人曰く「あっさりしたウナギのようでなかなか美味しい」そうです。
僕も早く食べてみたいものです。

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